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2000年の自分は凄かった (2023/12/29)

23年前の自分は、天才的なアウトプットをしていたと思う。当時のアウトプットの何が凄かったのか、自画自賛してみたい。

1. ペイントツールを開発した

2000年7~8月頃、Windowsで動作する無料のペイントツール「openCanvas」をリリースした。

アンチエイリアス処理されたブラシストローク、キャンバスの回転表示、水彩っぽい混色、Wintab入力による筆圧対応。当時、これだけ頑張っていたペイントツールは殆どなかったのではないか。今時は当たり前かもしれないけど、成熟していない業界で、こういった現在の標準的な実装を行っていたのは素晴らしい先見性だったと言える。

2. タイムラプス機能(イベント機能)を実装した

openCanvas には「イベント機能」という、全ての描画手順を記録する機能があった。画像を新規作成すると、自動的に「描き手順」を記録していく。この手順データ(ストロークの座標列や筆圧、塗りつぶし範囲や描画色)をファイル保存したものを「イベントファイル」と呼んでいた。もちろん、そのイベントファイル元に手順を再生することができた。いわゆる、タイムラプス的な自動再生が行えた(恐らくアイビスペイントと同じような事を行っていた)。

今時のアプリのように、動画形式で出力したりは出来なかったが(MP4なんて存在しない時代)、これはタイムラプス機能と言っても構わないだろう。

座標データがあるので、ベクター画像のように、劣化なしに高解像度画像(拡大画像)を生成する事ができる。小さなキャンバスのイラストも、200% 300% に拡大して再生する事もできた(この機能はリリースしなかったが)。

3. ネットワークペイント機能を実装した

openCanvasのイベント機能の情報(描き手順のデータ)を使って、ネットワークペイント機能を実現した。ユーザーはロビーサーバに接続して、そこからルームを作成し、同時に4人まで同じキャンバスでセッションが可能だった。各ユーザーのストロークは、リアルタイムに入り乱れながら、キャンバスに合成されていく。

当時はネットワークプログラミングは成熟しておらず(多分)、よく分からずP2PのようにグローバルIPにダイレクトにパケットを送信していた。今実装するのなら、サーバを経由するのが当然なんだろうなぁ。

4. イラスト投稿サイトを作った

イベントデータファイル(キャンバス画像は含まれない)を投稿すると、Webサーバが受け取り、社内のWindowsマシンにファイルを投げて、そこでタイムラプス再生を行い画像を生成。その画像をイラスト投稿サイトに表示する仕組みを作った。ユーザー登録、イラストの5段階評価、他ユーザーからのコメント、サムネイルによる一覧表示などの機能があった。

pixivの登場は2007年。この投稿サイトは2000年。なんという先見性だろう。イベントファイルでなく、どんな画像でも受け付ける画像投稿サイトを作っていれば……。

先見性の先に

どうですか、凄くないですか?

こんな先見性があっても、事業を成功させる事もできなかったし、億万長者になる事もできなかった。他の国産ペイントツールは上手くやっているのに、自分だけは何者にもなれなかった。人生、上手く行かないもんですね。